2026.6.21

【コラム】相続後に不動産会社からDMが届く理由とは|2026年10月の登記規則改正でどう変わるか

📬 2026年10月施行! 相続後に届く「謎のDM」が大幅に減ります
登記 / 個人情報保護 / 法改正 / 相続

相続後に不動産会社からDMが届く理由とは|
2026年10月の登記規則改正でどう変わるか

「司法書士にしか伝えていないのに、なぜ不動産会社からDMが届くの?」その理由と、2026年10月施行の法改正によりDMが届かなくなる仕組みをわかりやすく解説します。

相続登記が完了した直後、見知らぬ不動産会社から「土地を売りませんか」「無料で査定します」というダイレクトメール(DM)が届いた経験をお持ちの方は少なくありません。特に相続手続きを進める中で、「司法書士さんが情報を外部に漏らしたのでは」と不安に思われた方もいるかもしれません。

しかし実際には、専門家は情報を漏らしていません。相続後のDMとは、法務局が管理・公開している「不動産登記受付帳」という行政文書を使った、合法的な営業手法を指します。2026年10月1日の法改正により、この受付帳から「登記の目的」と「不動産の所在地」が削除され、こうした営業DMが大幅に減少することが見込まれています。まずはこの仕組みと改正の内容について確認しておきましょう。

📋 この記事でわかること

  • 相続後に不動産会社からDMが届く理由(不動産登記受付帳の仕組み)
  • 今まで届いていたDMは違法だったのか
  • 2026年10月1日の法改正で何が変わるのか(改正前後の比較)
  • 改正後もDMが届く可能性はあるのか
  • 相続登記の手続き自体に変更はあるか

相続後にDMが届く理由とは|不動産登記受付帳の仕組み

「相続の手続きが終わったのに、なぜ見知らぬ不動産会社から連絡が来るのか」——その答えは不動産登記受付帳2にあります。

🔍 不動産登記受付帳とは何か

法務局1では、登記申請を受け付けるたびに「受付帳」に記録します。従来この受付帳には「どの不動産で・何の目的(相続、売買など)で・いつ登記があったか」が記載されており、誰でも開示請求3できる行政文書4でした。不動産会社はこれを定期的に入手し、相続登記をした方へDMを送っていたのです。

不動産会社はこの受付帳を定期的に開示請求3し(手数料は1件300円程度)、「相続登記が完了した物件の所有者」を把握してDMを送るという営業手法が全国で広く行われていました。これは違法行為ではなく、合法的な情報収集でした。

しかし、相続したばかりの方にとっては「個人情報が漏れているのでは」と不安を覚える体験です。また、司法書士7・土地家屋調査士などの専門家が「情報を漏らした」と誤解されるケースが後を絶たず、全国の行政文書開示請求の約6割が不動産登記受付帳だったという状況が続いていました。

2026年10月1日の法改正|受付帳から削除される情報と改正後の変化

2025年10月に「不動産登記規則等の一部を改正する省令5」が公布6され、2026年10月1日から施行6されます。この改正により、受付帳から「登記の目的」と「不動産の所在地」が削除されます。

📋 改正前(〜2026年9月)

  • 登記の目的(相続・売買など)が記載
  • 不動産の所在地(住所)が記載
  • 受付年月日・受付番号が記載
  • → 誰でも開示請求できる行政文書
  • → 不動産会社がDM発送リストとして活用

✅ 改正後(2026年10月〜)

  • 登記の目的 → 削除
  • 不動産の所在地 → 削除
  • 受付年月日・受付番号のみ残る
  • → どの不動産でどんな登記かが不明に
  • → 受付帳を使ったDM発送が事実上不可能に

📞 「相続手続きで何から始めればいいかわからない」

相続診断士として、相談の入口から対応します。必要に応じて司法書士へもお繋ぎできます。相談無料。
092-922-4606

これにより2026年10月1日以降、受付帳を使った営業DMは大幅に減少すると見込まれています。相続後に知らない業者からDMが届くことへの不安が軽減される、個人情報保護の観点での朗報といえます。

改正の流れと施行日

2025年
10月
公布

不動産登記規則等の一部を改正する省令5 公布6

受付帳の記載事項から「登記の目的」と「不動産所在事項」を削除する改正省令が公布されました。

2026年
10月1日
★ 施行

改正規則の施行6

この日以降の受付帳は「受付年月日」と「受付番号」のみ記載となります。どの不動産でどんな登記があったかは受付帳からはわからなくなります。

よくある疑問|相続手続きとDM問題のQ&A

Q
施行後は、DMが完全に届かなくなりますか?
受付帳を使ったDMは届かなくなりますが、不動産会社が他の方法(登記情報の網羅的な取得サービスなど)を活用すれば届く可能性はゼロではありません。ただしそうした方法は費用がかかるため、これまでのような大量DMは大幅に減ると予想されています。
Q
今まで届いていたDMは、違法だったのですか?
違法ではありませんでした。受付帳は行政文書として誰でも開示請求できる公開情報であり、それを活用した営業は合法的な行為です。今回の改正は、その慣行が個人情報保護の観点から問題があるとして見直されたものです。
Q
相続登記の手続き自体は何か変わりますか?
相続手続きの内容自体は変わりません。「相続を知った日から3年以内」という登記義務の期限・申請方法・必要書類はこれまでと同様です。変わるのはあくまでも「受付帳に記載される情報の範囲」のみです。なお、相続登記の実際の申請手続きは司法書士の業務となりますが、必要に応じて司法書士へもお繋ぎできますので、まずはお気軽にご相談ください。
Q
今まで届いたDMへの対処法は?
不動産の売却を希望していない場合は、開封せずに破棄するか、送付元に「送付不要」の意思表示をする方法があります。2026年10月以降は受付帳に基づくDMは届きにくくなります。

相続・不動産に関するご相談はお気軽にどうぞ

「相続のことで何から始めればいいかわからない」「不動産の登記や境界について聞きたい」など、まずはお気軽にご相談ください。土地家屋調査士・相続診断士として、相続に関わる幅広いご相談をお受けしています。

📍 土地家屋調査士 山本事務所(福岡県筑紫野市)|福岡県内・全国対応

受付時間:平日 9:00〜17:00 / 相談無料

📖 用語解説

記事中の専門用語をわかりやすく説明しています。

1
法務局(ほうむきょく)登記・戸籍・国籍・供託・訟務などに関する業務を担う国の機関(法務省の出先機関)。全国各地に設置されており、不動産の登記申請や登記事項証明書の取得はここで行います。オンライン申請にも対応しています。
2
不動産登記受付帳(ふどうさんとうきうけつけちょう)法務局が管理する、登記申請を受け付けた際の記録簿のこと。どの不動産についていつ・どんな目的で登記があったかが記載されており、誰でも開示請求できる行政文書でした。2026年10月以降は記載内容が大幅に縮小されます。
3
開示請求(かいじせいきゅう)行政機関が保有する文書・情報を「見せてほしい」と申し出る手続きのこと。情報公開法に基づき、誰でも申請できます。不動産登記受付帳もこの手続きで取得できたため、不動産会社が定期的に請求して営業リストとして活用していました。
4
行政文書(ぎょうせいぶんしょ)国や地方公共団体などの行政機関が職務上作成・取得した文書のこと。原則として情報公開の対象となり、市民からの開示請求に応じる義務があります。不動産登記受付帳はこれに該当するため、誰でも取得できる状態でした。
5
省令(しょうれい)各省(法務省・国土交通省など)の大臣が制定する命令のこと。法律・政令の下に位置し、細かいルールを定めます。今回の「不動産登記規則等の一部を改正する省令」は法務省が定めたもので、登記に関する細則が変更されました。
6
公布(こうふ)と施行(しこう)「公布」とは法律・省令などが正式に制定され、国民に周知(官報に掲載)されること。「施行」とはその法律・省令が実際に効力を持ち始めること。公布と施行は同日のこともありますが、今回のように準備期間を設けて数か月後に施行されるケースも多くあります。
7
司法書士(しほうしょし)不動産の「権利に関する登記」(所有権の移転・相続登記・抵当権設定など)を専門に扱う国家資格者。土地家屋調査士が建物や土地の「形・大きさ・場所」に関する登記(表示登記)を担うのに対し、司法書士は「誰のものか」という権利関係の登記を担います。相続登記では両者が連携することもあります。
8
表示登記(ひょうじとうき)不動産(土地・建物)の物理的な状況——所在・種類・構造・床面積など——を登記簿に記録する手続きのこと。建物を新築したときの「表題登記」や、解体後の「建物滅失登記」などが表示登記にあたり、土地家屋調査士の専門領域です。

一覧へ戻る